コラム~女性医学の紹介~

はじめての不妊治療|何をする?いつ始める?助成金まで徹底解説

性成熟期(18〜45歳頃)

2026.01.20

不妊治療を考えるとき、具体的に何をするのか、いつから始めるべきかといった不安を感じる方も少なくありません。
妊娠や出産は個人差が大きく、誰にでも当てはまる明確な正解がないからこそ、迷いや戸惑いが生じやすいテーマでもあります。
日本では、不妊治療が保険適用になったことに加え、タイミング法や人工授精だけでなく、生殖補助医療(体外受精や顕微授精)などの高度な医療技術が身近になり、不妊治療へのハードルが以前よりも低くなりました。

不妊とは?

不妊とは、妊娠を望む健康な男女が避妊せずに定期的に性交渉を続けているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態を指します。一般的には、1年間妊娠に至らない場合を「不妊」といいますが、年齢や生活状況によっては、早い段階で検査や治療を検討することが望ましいケースもあります。

不妊症は女性にだけ原因があると思われがちですが、実際には約半数で男性側の原因が関係していることも分かっています。

不妊の原因と割合

WHOのレポートでは、不妊の原因について、女性のみが要因となるケースが約41%、男性のみが要因となるケースが約24%、男女双方に要因があるケースが約24%、原因が特定できないケースが約11%と報告されています。

不妊の原因はさまざまで、女性側では排卵障害や卵管閉塞、子宮の異常などが挙げられますが、男性側の精子の状態が影響している場合も少なくありません。実際に、不妊の原因として男女の両方が関与していることも多いため、夫婦で検査を受け、原因を探ることが大切です。

不妊治療とは?

不妊治療とは、妊娠を望んでいるのにも関わらず、避妊せずに性交をしても一定期間(一般的には1年間)妊娠しない場合に行う治療方法です。不妊の原因を特定し、原因に合わせた治療を行うことで妊娠を目指します。主にタイミング法や人工授精など、体外受精を含まない不妊治療が該当します。

一般不妊治療

タイミング法

タイミング法は、排卵日を予測し、排卵の1〜2日前から当日の妊娠に最適なタイミングでの性交を指導する不妊治療です。基礎体温や超音波検査、ホルモン検査などで排卵日を正確に特定し、排卵された卵子と精子の寿命(卵子は約24時間、精子は数日)を考慮して性交渉を促します。

人工授精

人工授精は、排卵日に合わせて精子を子宮内に直接注入して妊娠を促す不妊治療です。排卵日の予測自体はタイミング法と同様に行いますが、採取した精子をそのまま用いるのではなく、状態の良い精子を選別して洗浄・回収したうえで、カテーテルと呼ばれる細いチューブを使って子宮内へ注入します。これにより、精子が卵管まで到達しやすくなり、受精の可能性を高めることが期待されます。

人工授精は自然妊娠に近い治療法とされていますが、妊娠率は1周期あたりおよそ5〜10%程度と報告されています。実際の妊娠率は、女性の年齢や不妊の原因などによっても左右されるため、個々の状況に応じた理解が大切です。

生殖補助医療

生殖補助医療とは、卵子を採卵術により体外に取り出して精子と受精させ、得られた受精卵を数日間体外で育ててから子宮内に移植する不妊治療です。生殖補助医療には、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)が含まれます。

体外受精

体外受精(IVF)とは、女性の体外(培養液の中)で卵子と精子を受精させ、数日間培養してできた受精卵(胚)を子宮内に戻して妊娠を目指す不妊治療で、一般不妊治療で妊娠に至らない場合や、卵管の異常、重度の男性不妊などがある場合に実施されます。

顕微授精

顕微授精(ICSI:イクシー)とは、顕微鏡下で、卵子1つと精子1つを直接結合させる体外受精の一種です。通常の体外受精(IVF)で受精が難しい、精子の数が少ない、運動性が低い、または受精障害がある場合に用いられ、1匹の精子を細い針で卵子に注入することで受精を助けます。

不妊治療を始めるタイミング

一般的には、妊娠を希望してから1年間妊娠しない場合に、不妊治療を検討する目安とされています。ただし、35歳以上など妊娠力の低下が考えられる場合や、生理不順など気になる体の変化がある場合には、早めに専門医へ相談することが勧められます。医学的には「妊孕性」を理解することが重要で、妊娠のしやすさは年齢や健康状態によって異なるため、専門的な検査によって体の状況を把握することが治療の第一歩となります。

治療開始の判断は、単に期間だけでなく、パートナー同士の話し合いや生活環境、仕事との両立なども含めた総合的な視点で行うことが大切です。治療は身体的・心理的負担を伴うことがあるため、納得感を持って進めることが重要です。

不妊治療のための検査

不妊治療を進めるにあたって、検査はとても重要な役割を担います。

女性の場合は、子宮や卵巣の状態を調べる内診・経腟超音波検査や、子宮の形や卵管の異常を調べる子宮卵管造影検査、卵胞の発育や排卵の状態などを調べるホルモン検査(血液検査)などが行われます。ホルモンの分泌量は生理周期によって変動するため、月経時や排卵後の黄体期など、適切なタイミングで複数回行われることもあります。

男性については、精液検査によって精子の量や運動性、形態などを調べます。精液の状態は体調や生活状況によって日々変動することがあるため、必要に応じて再検査が行われる場合もあります。

不妊治療の保険適用と助成金

2022年4月から、一般不妊治療や生殖補助医療の多くが保険適用の対象となりました。保険適用には年齢や治療回数に制限があり、たとえば体外受精や顕微授精では治療開始時の年齢が43歳未満で、40歳未満では1子につき通算6回まで、40歳以上43歳未満では通算3回までの胚移植が保険適用の対象です。条件を満たさない場合や先進医療を希望する場合は自費診療となります。

不妊治療が保険適用となったことにより、国が行っていた従来の助成制度は終了していますが、自治体によっては独自に助成制度を設けている場合があります。内容や条件は自治体ごとに異なるため、詳しくはお住まいの自治体のホームページで確認すると安心です。申請に備えて領収書をきちんと保管し、必要な手続きを漏れなく行うことが重要です。

不妊治療への向き合い方

不妊治療は、身体への負担に加えて、心にも影響を及ぼしやすい過程です。思うように結果が現れないことや、自分自身、あるいはパートナーとの関係について考える中で、強いストレスを感じる場合もあります。治療に伴う不安や悩みを一人で抱え込まず、医療者や信頼できる身近な人に気持ちを打ち明けることが支えになります。無理のない範囲で自分の体と心に向き合っていく姿勢が大切です。

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